「オーリーで高さが出ない」「自分だけ跳べない気がする」「プロはなんであんなに浮くの?」
スケートボードを始めた人、再開した人、そして長年続けてきたスケーターの誰もが一度はぶつかるのが「オーリーの高さ」という課題です。
見た目はシンプルなのに、やってみると意外とうまくいかない。そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
こんにちは、「気になる情報発信局」の好太郎です。私は30代からスケートを始め、途中ブランクを経て58歳の今、改めてスケートの魅力に向き合っています。
昔とは違って体力は落ちましたが、その分、「考えるスケート」「工夫する練習」に目覚め、もう一度オーリーを突き詰めようと試行錯誤の日々です。
今回の記事では、オーリーの高さを出すために必要な7つの要素を、プロの練習法や実体験・口コミなどを元に、わかりやすく解説しています。
特に「ブランク明け」「体力に自信がない」「最近伸び悩んでいる」そんな方にこそ読んでほしい内容です。
オーリーは一瞬の技。でも、その中には体の使い方・タイミング・気づきがぎっしり詰まっています。この記事を通して、あなたのオーリーがひとつ先のステージへ進めるよう、じっくり丁寧に伝えていきます。
それでは早速、オーリーの高さを上げるための最初のポイントから解説していきましょう。
1. オーリーの高さを決める「スタンス」とは?
オーリーの高さを上げたいなら、まず見直すべきなのが「スタンス」です。実は、どれだけテールを弾いたり、前足ですり足をしても、土台となるスタンスが崩れていれば上手くいきません。
多くのスケーターが気づかないうちに自己流になってしまっている部分でもあります。
ここでは、正しいスタンスの取り方から、足の位置がどんな影響を与えるのか、プロも実践している調整方法まで詳しく解説していきます。
正しいスタンスの取り方とは?
スケートボードのオーリーにおいて、スタンスはすべての基本です。正しいスタンスをとることで、体のバランスが安定し、力を効率的に伝えられるようになります。
では、どのようなスタンスが理想なのでしょうか?
まず、後ろ足(テール側)はテールの先端より少し内側、コンケーブが始まるあたりに置くのが基本です。足の指の付け根あたりでしっかりテールを弾ける位置を意識してください。
かかとに重心を乗せすぎると、弾く力が逃げてしまい、高さが出にくくなります。
前足はフロントトラックのビスのやや後ろ、斜めに置くのがポイントです。角度は人によって違いますが、だいたい30度〜45度くらいが一般的。
前足は「すり足」をする役割があるので、ある程度の角度がついているほうが板をコントロールしやすくなります。
そして、肩と足の向きにも注意しましょう。よくあるミスが、肩が開きすぎて進行方向に対して真横を向いてしまうこと。
これだと重心が不安定になり、弾いた後にバランスを崩しやすくなります。肩の向きは軽く斜め前を意識し、骨盤と一緒に前を向けることで、全身が一体となって動きやすくなります。
スタンスの感覚は人それぞれですが、まずはこの「基本ポジション」を守ることが第一歩です。鏡やスマホのカメラで自分の足の位置と全体のフォームをチェックしてみましょう。
何度も繰り返すことで、正しいスタンスが自然に身についてきます。
足の位置で何が変わるのか?
スタンスを取る際に、「どこに足を置くか?」はオーリーの高さと安定感を大きく左右するポイントです。同じスタンスでも、足の位置が少しずれるだけでオーリーの感覚がガラッと変わってしまいます。
それだけスケートボードは繊細なスポーツなのです。
まず、後ろ足の位置についてです。テールの一番端に置くと強く弾けますが、その分バランスを崩しやすくなります。
逆に、少し内側(テールの丸みが始まるあたり)に置くと安定しますが、力がうまく伝わらず高さが出にくくなります。つまり、「どれだけ弾きを重視するか」によってベストな位置が変わるわけです。
また、後ろ足のつま先寄りで踏むのか、土踏まずあたりで踏むのかでも、テールの反応が違ってきます。つま先寄りで踏むと素早く弾きやすいですが、タイミングを外すとミスになりやすい。
一方、土踏まず寄りは安定感がありますが、弾きの反応は若干鈍くなります。
次に、前足の位置です。前足はオーリーで板をすり上げる「すり足」の役割を持つため、置き場所がとても重要です。
フロントトラックのビスの上に置くとすり足が短くなり、跳ね上がりが弱くなりがちです。逆に、やや後ろに置くことで、すり足に余裕ができて板の角度をより高く引き上げることができます。
しかし、後ろすぎるとバランスが取りづらくなるので、前足はビスの少し後ろ、斜めに置くのがちょうどよい位置と言えます。
また、足の向きや角度でも違いが出るので、自分にとって「一番すりやすい」角度を探ってみましょう。
このように、足の位置によってオーリーの高さ、安定感、タイミングが大きく変化します。
動画を撮って自分の足元を確認したり、他のスケーターと比較したりしながら、自分に合ったベストなスタンスを見つけていくことが重要です。
よくあるNGなスタンス例
オーリーの高さがなかなか出ない原因の多くは、実は「スタンスのミス」にあります。フォームやタイミングをいくら練習しても、基本のスタンスが間違っていればその努力も空回りしてしまいます。
ここでは、多くのスケーターが陥りがちなNGスタンスを紹介し、その原因と改善ポイントを解説します。
まず一つ目のNGは、後ろ足をテールの端ギリギリに置きすぎることです。たしかにテールを強く弾けるメリットはありますが、極端すぎるとバランスを崩しやすくなります。
しかも、テールの端は丸みがあるため、安定して踏み込むのが難しく、弾く瞬間にズレたり滑ったりしてミスにつながりやすいです。
二つ目のNGは、前足を真横に置いてしまうケースです。スケートを始めたばかりの頃によく見られる形で、これだと足首の可動域が狭まり、すり足の動作がうまくできません。
前足は斜めに置くことで、すり足の動きがスムーズになり、結果的にオーリーの高さが出やすくなります。
三つ目のNGは、前後の足の間隔が狭すぎるスタンスです。これでは上下の動作に余裕が生まれず、オーリーが窮屈になってしまいます。
特に「板が跳ね上がらない」「すり足が途中で止まる」と感じている方は、足の間隔をもう少し広げてみると改善するかもしれません。
四つ目は、重心が片方の足に偏っているパターンです。例えば、後ろ足に重心を置きすぎているとテールの弾きは強くなりますが、バランスが不安定になりやすいです。
逆に前足に重心を置きすぎると、テールがうまく弾けずに高さが出ません。重心は両足の中央に、体の中心を意識して立つことが大切です。
スタンスの癖はなかなか気づきにくいものです。可能であれば動画を撮ってフォームを確認し、上達しているスケーターと比べてみるのもおすすめです。
NGスタンスを直すだけでも、オーリーの感覚は驚くほど変わります。
スタンスの安定感を高める練習法
スケボーにおいて、スタンスの「安定感」はとても重要です。オーリーでしっかり板を弾いたり、前足ですり足をするためには、体の重心が安定していることが前提になります。
逆に、スタンスがぐらついていると、どんなに他の動きが良くても高さが出にくくなります。
まずおすすめしたいのが、静止状態での「ノープッシュ練習」です。板の上に乗って、何もせず5〜10分間その場に立ち続けてみましょう。
重心がどこにあるか、自分の体がどうバランスをとっているかを意識するだけでも、自然と体幹が鍛えられていきます。
次にやってみてほしいのが「ゆらし練習」です。スタンスを取った状態で、足の指先・かかと・内側・外側と順番に体重を移動させてみてください。
どの方向に重心が動いたときに不安定になるかが分かるようになります。特に後ろ足に乗る感覚を掴むのは、テールを弾く際にもとても役立ちます。
また、片足立ちでのスタンス練習も効果的です。後ろ足だけでバランスをとる練習をすることで、テールを弾いたときの姿勢が安定します。
反対に、前足だけで板の上に立ち、すり足の動きを意識してみると、動作の精度が向上します。
さらに、鏡やスマホを使って自分のスタンスを客観的に見ることもおすすめです。思っているより足が開きすぎていたり、体が前傾していたりする場合があります。
撮影した動画を見返すことで、自分の癖や改善点が明確になります。
スタンスの安定感を高めることは、スケートボードのあらゆるトリックにおいて基礎となるスキルです。毎日3分でもこのような基礎練習を取り入れるだけで、自然とオーリーの高さが変わってきます。
焦らずコツコツと安定したスタンスを身につけていきましょう。
プロがやっているスタンス調整のコツ
上手なスケーターたちは、常にスタンスの微調整を行っています。それは「感覚頼り」ではなく、明確な理由と目的があるからです。
オーリー一つとっても、トリックの精度や高さを変えるにはスタンスのちょっとした変化がとても大きな影響を与えるからです。
例えばプロは、その日の体調や路面の状態によってもスタンスを微調整します。少し風が強い日や地面が滑りやすい場所では、安定感を優先して足の幅を広めに取り、後ろ足をやや内側に寄せることがあります。
これによりバランスを崩しにくくなり、テールの弾きも安定します。
また、前足の角度もトリックによって調整します。オーリーではおおむね30〜45度の角度が理想とされていますが、低めの障害物を飛ぶときは角度を浅めに、高さを出したいときは角度を深めに設定するプロもいます。これはすり足の可動域と足首の使い方に影響を与えるためです。
また、スタンスの確認で有効なのが「シールを使う」方法です。デッキのテープ部分に自分の足の置き場所を記録するための小さなステッカーや削れ跡を目印にしています。
これにより、無意識のうちに正確な位置に足を置く習慣が身につき、トリックのメイク率が上がります。
滑る前に必ず同じ位置に足を置くことを意識したり、テープの削れ跡を参考に自分のクセを知るだけでも、安定感は格段にアップします。
「自分に合ったスタンス」は一度決めたら終わりではなく、常に調整しながら最適化していくもの。
プロのように、日々のコンディションや滑る環境に合わせてスタンスを見直すクセをつけることで、オーリーの高さにも確かな違いが生まれてきます。
2. テールをしっかり弾ける「足の動かし方」を理解する
スタンスが整ってきたら、次に大事なのが「テールを正しく弾くこと」です。オーリーで高さを出すためには、テールの弾き方ひとつで結果がまるで変わってきます。
ただ踏むのではなく、正しいタイミングで「弾く」ことができれば、スケボーは空中へしっかりと跳ね上がります。
ここでは、テールを弾く瞬間のタイミングから力の入れ方、よくあるミスや練習法まで、段階的にわかりやすく解説していきます。
テールを弾く瞬間のタイミングとは?
オーリーの高さを決めるうえで、最も重要とも言えるのが「テールを弾くタイミング」です。ここがズレると、どれだけスタンスやすり足が良くても、板はうまく跳ね上がってくれません。
多くの初心者が「弾くのが遅い」「速すぎる」といったタイミングのズレに悩みます。
理想的なタイミングは、ジャンプと同時にテールを地面に弾くイメージです。よくあるミスは、ジャンプよりも前に弾いてしまい、板が前足に邪魔をされてバタバタしてしまうパターン。
逆にジャンプが遅すぎると、板が地面から浮かずに「ポコッ」としたオーリーになってしまいます。
コツは、膝を曲げてタメをつくり、「ジャンプしよう」と意識した瞬間に、かかとを軽く浮かせながらつま先〜指の付け根でテールを「叩く」のではなく「弾く」ことです。
このとき、足裏で叩きつけるのではなく、ピンポイントでパチン!と跳ね返すような感覚を意識しましょう。
スロー動画でプロの動きを見ると、テールの接地とジャンプの動作が見事に一致していることがわかります。
両足と上半身が一体となり、瞬間的に力が地面へ向かって「打ち込まれている」ような感じです。
練習方法としては、まず板に乗った状態でテールを軽く弾く動作を繰り返すこと。最初はテールが「パチン」と鳴る音が出るかどうかをチェックしましょう。
音が鈍い場合は足全体で踏んでしまっている証拠。指の付け根を意識して、なるべく少ない力で高い音が出るように調整していきます。
地面との反応を体で覚えていくことが、タイミングを掴む一番の近道です。特に最初は「飛ぶぞ!」と思ったタイミングよりも、ほんの一瞬だけ早く弾くくらいでちょうどいいです。
体と板がぴったり合ったとき、スッときれいに浮き上がるオーリーが完成します。
力の入れ方で変わるオーリーの高さ
オーリーで高さを出すために、「どれだけ強くテールを弾くか」が重要だと思われがちですが、実は「どこに、どう力を入れるか」のほうがもっと大切です。
力任せに叩くと安定感を失い、逆に高さが出にくくなってしまいます。
まず理解したいのは、「弾く力=スピード×正確なポイント」です。後ろ足で地面に強く押し込むように弾くのではなく、ピンポイントに素早く力を加えることで、板は自然と跳ね上がってくれます。
このとき使うのは、足全体の力ではなく、指の付け根のバネのような感覚です。
力の入れ方のミスでよくあるのが、「踏みつけてしまう」こと。これでは板が沈みすぎて、地面との反発を活かせません。
逆に、素早くコツンと弾くと、テールが地面に当たった瞬間の反発力を最大限活かせるため、高さのあるオーリーが可能になります。
もう一つのポイントは、上半身と連動した力の入れ方です。膝を曲げてタメをつくった後、ジャンプするタイミングで下半身がテールを弾く動作と同時に、上半身はまっすぐ上へ引き上げるように意識します。
この「上下の力の連携」ができていないと、板だけが浮いて体がついてこない、という失敗が起こりがちです。
実践的な練習としては、「踏む力を抜いて、弾く感覚を覚える」ことに集中してみましょう。最初は軽く弾いて、どの程度板が跳ねるかを試しながら、自分にとって最も「反応が良い」ポイントを見つけることが大切です。
また、使うシューズによっても力の伝わり方が変わります。クッションが厚すぎると力が吸収されてしまうことがあるので、弾きを意識したい場合は、ソールの硬さやグリップ感も確認してみると良いでしょう。
結局のところ、オーリーは「力の強さ」よりも「力の質」が大事。効率よく、正確に、素早く弾くことができれば、無理に踏み込まなくても自然と高さはついてきます。
毎回同じタイミング・同じ力の入れ方で弾けるようになるまで、反復練習を続けましょう。
よくある「踏み遅れ」の原因と対策
「オーリーがうまく浮かない」「テールを弾いてるつもりなのに板が上がらない」──そんな悩みの原因としてよくあるのが、「踏み遅れ」です。
これは、ジャンプとテールの弾きのタイミングがズレてしまっている状態で、初心者から中級者まで多くの人がつまずくポイントです。
踏み遅れとは、ジャンプする瞬間にテールを弾くのではなく、「ジャンプした後に弾いてしまう」ことを指します。このタイミングのズレによって、板がうまく地面を蹴れず、空中に浮かぶ力を失ってしまうのです。
感覚的には「板が足から置いていかれる」ような感じになります。
この原因として多いのが、ジャンプ動作と弾き動作が別々の動きになってしまっていることです。本来は膝を曲げてタメを作った後、「ジャンプしよう」と思った瞬間に、後ろ足で同時にテールを弾く必要があります。
これがズレると、空中に行きたい体と、まだ地面にいる板との間にギャップが生まれてしまいます。
対策として効果的なのが、「しゃがんで、ジャンプと弾きを同時に行う」動作の反復練習です。まずは地面の上で板に乗らずに、ジャンプと足の動きを合わせるイメージトレーニングから始めてみましょう。
身体がその感覚に慣れてきたら、次はデッキに乗って、実際にテールを軽く弾く練習をします。
このとき、「ジャンプの頂点ではなく、踏み始めと同時に弾く」ことを強く意識してください。また、動画で自分の動きを確認するのもおすすめです。
特にスマホでスロー撮影すれば、タイミングのズレが一目瞭然になります。
さらに、力みも踏み遅れの一因になります。「高く飛ばなきゃ!」と力んでしまうと、ジャンプが早くなり、弾きが後追いになりがちです。
リラックスして動作をつなげることが、自然なタイミングを身につける近道です。
踏み遅れは、多くのスケーターが必ず一度はぶつかる壁ですが、正しい意識と反復で必ず克服できます。
ジャンプと弾きを「一つの動作」として体に覚え込ませることが、高くて安定したオーリーへの第一歩です。
テールをしっかり弾ける練習方法
テールを正確に弾けるようになるには、感覚だけに頼らず、段階的にステップを踏んで練習することがとても大切です。
何度やってもうまく弾けない…という場合、力の入れ方ではなく「練習の順序」や「意識するポイント」に問題があることが多いのです。
まず最初にやっておきたいのが「静止状態でのテール弾き」です。スケボーに乗ってその場でしゃがみ、軽くジャンプする感覚で後ろ足の指の付け根を使ってテールを弾く練習をします。
このとき、音が“パチン”とクリアに鳴るかどうかを確認しましょう。音が小さい、もしくは“ドン”という鈍い音になっている場合、踏んでしまっている可能性があります。
次に行いたいのが「体重を乗せすぎずに弾く練習」です。よくあるミスとして、体重を全て後ろ足にかけて思い切り踏み込んでしまう人がいますが、これはNG。
むしろ、体重は真ん中に置いたまま、指のバネでパチンと跳ねさせるようなイメージで弾くことが重要です。
次の段階では、前足を浮かせて後ろ足だけでテールを弾いてみます。これはジャンプの反動を使わずに「純粋に弾く力」を養う練習になります。
すぐに板を浮かせようとせず、弾く動作を反復することで、無意識に力の入れ具合や足の使い方が身についていきます。
その後、板に乗った状態でしゃがみ→弾く→すぐに戻す、という一連の流れをテンポよく繰り返してみましょう。
10回連続でリズムよく弾くことを目標にすると、タイミングと安定性がぐっと良くなります。
また、練習時はなるべく硬い地面(アスファルトや屋内の滑りにくい床)を選ぶと、テールの反発をしっかり感じることができます。
柔らかい土や芝生だと、テールが沈んでしまい、正しい感覚が身につきにくくなります。
上達のコツは、「高さを意識するより、音と感覚を意識する」ことです。無理に高く跳ぼうとせず、足の動きだけに集中する時間を増やすことで、自然とタイミングやコントロールが改善されていきます。
静止状態でのフォームチェック術
オーリーで高さを出すには、まずは正しいフォームを体に染み込ませることが基本中の基本です。そのためには、動きながらの練習だけでなく、静止状態でのフォーム確認がとても効果的です。
スピードがあるときには気づきにくい癖も、止まった状態なら客観的に確認することができます。
まずは、スケボーに乗ってノープッシュの状態でスタンスを取ってみましょう。後ろ足の位置、前足の角度、肩の開き具合、重心の位置などを意識しながら、自分の姿勢を観察してみてください。
このときにスマホのカメラで横・前・上から撮影しておくと、あとで見返してフォームを客観的にチェックできます。
次にやってほしいのが、しゃがんだ姿勢でのチェックです。オーリー前のタメを作る姿勢で、膝の角度や背筋の伸び具合を意識します。
ここでのポイントは「前傾しすぎていないか」「体が左右に傾いていないか」という点です。意外と、片方の足に重心が寄っていたり、上半身がねじれていたりする人が多いです。
また、足元の位置だけでなく肩と腰の向きも重要です。肩が開きすぎるとバランスが崩れやすくなり、腰が引けているとテールの弾きに影響が出ます。
理想は、上半身と下半身が一直線になり、地面に対して垂直に近い姿勢です。
さらに、静止状態で目線の位置も確認しましょう。ついつい足元ばかり見てしまいがちですが、オーリーの際には少し前を見ることがバランスを保つコツです。
止まっている間に、目線を前方にキープするクセをつけておくと、実際のライディング時にも役立ちます。
このようなフォームチェックを毎日のウォームアップとして数分でも行うことで、無意識のうちに正しい姿勢が体に染みついてきます。
フォームが安定すれば、テールの弾きやすり足の動きにも余裕が生まれ、結果としてオーリーの高さや安定性が格段にアップします。
「止まってるだけじゃ上手くならない」と思うかもしれませんが、静止状態でフォームを整えることは、すべての技術の土台になります。焦らず、じっくり自分の姿勢と向き合ってみましょう。
3. 前足のすり足が高さのカギを握る
オーリーで「テールはしっかり弾けてるのに、なぜか板が浮かない」「高さが出ない」と感じたことはありませんか?その原因、実は前足のすり足にあることが非常に多いんです。
すり足は、オーリーを成功させるための“仕上げの動作”とも言える重要なパートです。
ここからは、すり足の基本的な意味から動かし方、うまくできないときの原因と対策、効果的な練習法まで、段階的にわかりやすく解説していきます。
前足をすり上げる意味とは?
オーリーで前足をすり上げる動作は、「デッキを空中に引き上げるため」の最重要ステップです。後ろ足でテールを弾いただけでは、板はただ後方に跳ねるだけで、うまく足についてきてくれません。
そこで前足の「すり足」が、板を引き上げてバランスを保ちながら高さを生み出すのです。
具体的には、テールを弾いた瞬間に、前足をノーズ方向に向かってスライドさせます。このすり上げる動作によって、板の先端(ノーズ)が持ち上がり、全体が空中へと水平に浮かび上がるようになります。
これがうまくできないと、板が斜めに跳ねてしまい、足元から離れて失敗につながります。
さらに、すり足にはオーリーの高さを最大限に引き出すという役割もあります。すり上げることで、板と前足がぴったりくっついた状態になり、滞空時間も長くなります。
これによって、より高い障害物を飛び越えられるようになるのです。
重要なのは、「スライドさせる」のではなく「ノーズの先端に向かって上げる」意識を持つこと。表面をこするように、つま先から足の甲のあたりまでデッキに触れたまま滑らせる感覚です。
ここで足が板に触れていない時間が長いと、すり足の効果が弱まってしまいます。
また、すり足を成功させるためには、すり上げる方向とタイミングも大切です。単に真上に動かすのではなく、斜め前方向に向かって板をリードするように動かすことで、オーリーの完成度が大きく変わります。
この動作は、最初はかなり難しく感じるかもしれません。しかし、オーリーの「高さ」「安定性」「美しさ」をすべて左右する重要な要素です。
すり足が自然に出せるようになれば、スケートボードのトリックが一気に進化します。
靴のどこで擦るのがベスト?
前足のすり足を正しく行うためには、「靴のどの部分で板を擦るか」を理解しておくことがとても大切です。すり足の精度が上がれば、それだけオーリーの高さと安定感も向上します。
しかし、擦る位置がズレていると、うまくノーズを引き上げられず、バランスも崩れてしまいます。
結論から言えば、一番理想的なのは「つま先から靴ひもあたりの側面」です。具体的には、シューズのアッパー(足の甲の外側)部分で、靴ひもよりも少し前のエリア。ちょうど足の指の付け根あたりから甲の中央にかけて板に触れる感覚がベストです。
この部分は、足首の可動域が広く動かしやすいため、スムーズにすり上げる動作がしやすいのです。また、この位置で擦ると、ノーズに向かって自然な角度で足を滑らせることができるため、デッキがきれいに浮き上がります。
一方で、靴の裏(ソール)やつま先の先端部分だけで擦ってしまうと、すり足が短くなってしまい、板がしっかり上がらなかったり、横にズレてしまったりする原因になります。
オーリーをしていると、シューズの特定の部分だけが極端に削れていることがありますが、それは「使っている部分=擦れている箇所」が偏っているサインです。
おすすめなのは、すり足を練習した後に靴のアッパー部分を確認することです。毎回同じ場所が削れているなら、それは正しく擦れている証拠。逆に、削れていない部分があるなら、足の動かし方を見直してみる必要があります。
また、靴の素材も重要です。スウェードやヌバックなどの柔らかめの素材は、グリップが効きやすく、すり足の感覚をつかみやすい傾向があります。
初心者のうちは、多少削れても感触が分かりやすい素材のスケシューを選ぶと練習がはかどります。
すり足は「感覚」で覚える動作ですが、その感覚を磨くためには擦る位置を具体的に理解しておくことが近道になります。
靴のどの部分で擦っているのかを意識して練習することで、より安定したオーリーへとつながっていきます。
擦り上げが上手くいかない時の対処法
すり足を意識して練習しているのに、「板が上がらない」「ノーズに前足が引っかかる」といった悩みを抱える人は少なくありません。
そんなときに見直してほしいのが、擦り上げる方向とタイミング、そして“力の逃げ道”の作り方です。
まず大前提として、すり足はノーズがテールの弾きで上がってくる力を“助ける”動作です。
ところが、足が先に突っ込んでしまったり、板を真上に引っ張ろうとしたりすると、ノーズの動きを邪魔してしまい、かえってオーリーの高さを奪ってしまう結果になります。
そこで大事になるのが、「板の動きに合わせて、斜め上に引き上げる」という感覚です。テールを弾いたあと、板のノーズが自然に上がってきます。
そのとき、前足をデッキに軽く触れたままノーズの動きを誘導するように、斜め上(45度前後)へ擦り上げると、弾きの力とすり足の引き上げが合わさり、オーリーに高さが出ます。
逆に、足を強く蹴り上げようとすると、ノーズを上に押しつぶす形になり、板が引っかかって不安定になりがちです。
すり足は“力で押し上げる”というより、「一緒に浮かせる」ような意識を持つことでうまくいきます。
すり足が上手くいかないときの具体的な対策として、次のような練習法を試してみてください:
- すり足の方向にテープで矢印を貼って視覚化する
- 動画で自分の足の軌道を確認する
- ノーズの少し手前で足を止めるような意識を持つ
- 板に乗らず地面ですり足の動作だけを繰り返す
また、靴の削れ具合を見て、削れている部分が偏っていたり、極端に少ない場合は、擦る方向や足の角度が間違っている可能性があります。
すり足ができないからといって焦る必要はありません。正しい方向、タイミング、力の加え方が分かれば、誰でも確実にできるようになります。
「ノーズを邪魔しない」「斜め上に導く」という意識を持つことが、すり足上達の近道です。
効果的なすり足トレーニング
すり足はオーリーにおいて欠かせない動作ですが、日々の練習において「なんとなく」でやってしまっている人が多いのも事実です。
すり足の感覚をしっかりと身につけるためには、段階的で意識的なトレーニングがとても大切です。
まずおすすめしたいのは、板に乗らずに地面の上ですり足の動きを再現する練習です。スケボーの代わりに目印となるテープやラインを床に貼り、それに沿って足を斜め上に滑らせる動作を繰り返します。
重要なのは、足の甲でやさしく床をなでるような感覚を覚えることです。
次に、デッキに乗って静止状態ですり足だけを行う練習をしましょう。テールを弾かずに、しゃがんだ状態から前足を斜め上にすり上げる動作を繰り返します。このとき、靴のどの部分が板に当たっているかを意識し、摩擦の感触を体に覚え込ませることが大切です。
さらに、板と足の密着感を高めるために、すり足の終点(ノーズの先)で軽く足を止めるような動作を加えるのも効果的です。
これにより、板が前足にしっかり付いてくる感覚が養われ、オーリーの安定感がぐんとアップします。
練習回数の目安としては、1日10回×3セットを目標にしてみましょう。数をこなすことで足の動きが自然になり、力を入れなくてもすり足ができるようになります。力を抜いてリズムよく行うことがコツです。
また、鏡の前やスマホのカメラでフォームを確認しながら練習すると、自分の癖や無意識のズレを見つけやすくなります。
「すり上げているつもり」が「実際にはできていない」というギャップに気づけるのは、上達にとって非常に重要な一歩です。
最後に、すり足トレーニングの際は、焦らずに“丁寧さ”を重視してください。無理に速くすり上げようとするとフォームが崩れてしまいます。
最初はスローでもいいので、正しい軌道と感覚を体に染み込ませましょう。それが、高さと安定感のあるオーリーにつながっていきます。
実はプロも悩む前足の使い方とは?
オーリーにおける「前足の使い方」は、実はスケボー経験者でも悩み続けるテーマです。トリックのレベルが上がれば上がるほど、すり足の繊細なコントロールが求められ、ほんの少しの角度やタイミングのズレが技の成功率を大きく左右します。
よくあるのが、前足を強く擦りすぎてしまうパターンです。オーリーを高くしたい一心で「とにかく力を入れてすり上げよう」とすると、足が板から離れてしまい、ノーズの動きを妨げたり、デッキが足にくっつかずにバラバラになってしまいます。
また、反対に足を板から離さないことを意識しすぎると、動きが小さくなりすぎて十分にノーズを引き上げられず、高さが出ない原因になります。プロでもこの「強さ」と「距離」のバランスを常に意識しながら調整しています。
さらに、足首の可動域も前足コントロールに大きな影響を与えます。すり足は足首を使った微細な動きが必要になるため、足首が硬いとオーリーのキレが出ません。そのため、プロスケーターでも足首のストレッチやウォームアップを毎日欠かさず行っています。
このように、前足の使い方には「力加減」「角度」「タイミング」「柔軟性」といった複数の要素が関係していて、しかもそれらは日々変化する自分の体調やコンディションにも左右されます。だからこそ、プロであっても常に調整しながら試行錯誤を繰り返しているのです。
私たちアマチュアにとって大切なのは、前足を“正確に操作する”という意識を持ち、毎回の練習で「今日はどこが違ったか?」を振り返る習慣を持つことです。成功したときの感覚を覚え、失敗したときの原因を探る。この繰り返しが、確実な上達につながります。
前足は、板を引き上げるだけでなくコントロールとバランスを担う存在です。だからこそ、多くのプロが最後まで向き合い続けるテーマでもあります。地味なパートですが、意識して丁寧に取り組むことで、あなたのオーリーは確実に変わっていきます。
ノーズを押し出すタイミングとテールが上がる瞬間
次の課題となるのが「板を空中で平行に保つこと」です。そのために重要なのが、すり足の終盤でノーズを押し出す動作。
これはただ擦り上げるだけではなく、足首の角度を元に戻すようにノーズを前方に“押す”ことで、デッキ全体のバランスを整える動きです。
多くのスケーターが無意識にやってしまうのが、ノーズの先端までずっと擦り続けてしまうこと。
しかし、それではタイミングが遅れ、板が平行になるのが下降中になってしまいます。
オーリーは一瞬のトリックなので、高さのピークで板を平行に保つには、上昇中にノーズを押し出しておく必要があります。
理想的なタイミングは、ジャンプの上昇率が70%あたりでノーズを擦り終え、そこから足首を元の角度に戻すようにクイッとつま先を返し、ノーズを前方へ押し出すことです。
この動きにより、ノーズが「前に突き出される」形になり、板が自然と平行になります。
このとき、テールがどれだけ早く上がってくるかも重要です。もしテールの弾きが弱かったり、スピードが遅ければ、ノーズを押すタイミングで後ろ足との距離ができてしまい、バラバラなオーリーになってしまいます。
だからこそ、速くて鋭いテールの弾きが必要になります。
具体的な動作としては、前足がデッキのビスあたりを通過したら、上昇する力をやや前方(進行方向)へと切り替えるイメージです。
そして、足の甲を反らせて寝かせていた足首を立てるように動かしながら、つま先でノーズをクイッと押します。この一連の流れにうまく後ろ足を連動させて引き上げることで、テールがぴったり後ろ足にくっつくような一体感が生まれます。
このタイミングと動作を意識できるようになると、オーリーの「空中で止まったようなフォーム」が自然と決まり、180などのトリックやグラインドの安定性も大きく向上します。
はじめは意識的に“軽く跳ぶ”オーリーで試しながら、フォームを確認するのがおすすめです。
4.すべての動作を連動させるポイント
オーリーを高く、きれいに決めるためには、「テールの弾き」「ジャンプ」「すり足」「ノーズの押し出し」「後ろ足の引き上げ」といった複数の動作を一つの流れとして連動させることが必要です。
どれか一つでもタイミングがズレてしまうと、バランスを崩したり、高さが出なかったりと、完成度に大きく影響します。
まず意識すべきは、ジャンプとテールの弾きを完全に同時に行うことです。「ジャンプしてから弾く」「弾いてからジャンプ」では、重心がブレてしまい、板が足から離れたり、跳ね方が不安定になります。
しゃがんだ状態から「せーの」で一気に上へ跳ぶ意識を持ち、その瞬間にテールをパチンと弾きます。
次に、弾いた瞬間から前足のすり足をスタートします。このとき、力任せに擦るのではなく、「板と一緒に浮かせるように」すり上げていくのがポイントです。
すり足の方向は斜め上前方。これにより、ノーズが引き上がり、自然と空中で水平な姿勢に近づいていきます。
そしてすり足がビス付近を通過したタイミングで、足首を返してノーズを押し出す動作へと移行します。
この「押し出し」と同時に、後ろ足を引き上げてテールをキャッチするように持ち上げると、板が足に吸いつくような感覚になります。
ここまでがすべて滑らかに繋がっていることが大切です。どこか一箇所でも動作が止まってしまうと、オーリーに“引っかかり”が生まれ、きれいに浮き上がりません。
たとえば、すり足の終わりで一瞬止まってから押し出すのではなく、「すりながら押す」くらいの連動感を意識してください。
おすすめの練習方法は、各動作をスローに意識して通しで繰り返すことです。最初は「弾く・擦る・押す・上げる」の順を声に出して確認しながら、丁寧に動作を行うと、少しずつ連動のリズムが身についてきます。
オーリーは一瞬で完結する技ですが、その中には複数の動きが連鎖反応のように繋がっているのです。
この連動性が身につくと、驚くほどスムーズで美しいオーリーが完成します。反復を通じて、自分の中に“流れ”を作っていきましょう。
タイミングがズレると何が起こる?
オーリーは、テールを弾く、ジャンプで体を浮かせる、前足ですり足をしてノーズを押し出す、後ろ足でテールを引き上げるという複数の動作を一瞬の中で連動させるトリックです。
だからこそ、どれか一つでもタイミングがズレると、たちまちバランスが崩れてしまいます。
たとえば、ジャンプより先にテールを弾いてしまうと、体がまだ地面に残っている状態で板だけが先に浮き上がってしまい、板が足から離れてコントロール不能になります。
逆に、ジャンプしてから遅れてテールを弾くと、せっかくの跳躍のエネルギーが無駄になり、板が浮きません。
また、すり足のタイミングが遅いと、板はテール側だけが上がり、ノーズが落ちたままになります。これではオーリーが「前上がり」の形にならず、足元でバラついて不安定な姿勢になりやすいです。
また、ノーズを押し出す動作のタイミングがズレると、デッキが空中で水平になるタイミングを逃してしまいます。
押し出すのが遅ければ、すでに体の上昇が止まり、下降が始まってから板が水平になる“間に合ってないオーリー”に。
フォームも崩れやすく、次の動作(180やグラインドなど)に繋がりません。
こうしたズレは、わずか0.1秒の違いで起こることも多く、しかも本人が気づきにくいのが厄介です。
だからこそ、スマホなどで自分の動作をスローで撮影し、「どこでズレているのか」を客観的に確認するのが上達への近道になります。
オーリーは本当に一瞬の中にすべてが詰まっているからこそ、各動作の“順番”と“タイミング”を徹底的に体に覚え込ませることが大切です。
何度も繰り返し、頭で考えずとも自然に正しい順番で動けるようになれば、高さ・安定性・スムーズさのすべてが手に入ります。
初心者が陥りやすいタイミングミス
オーリーの練習を始めたばかりの初心者がよくぶつかる壁のひとつが、動作のタイミングミスです。
見た目にはシンプルな動きに見えるオーリーですが、実際は0.1秒単位の動作のズレが失敗につながる、とても繊細なトリックです。ここでは、初心者に多い具体的なミスとその改善策をご紹介します。
まず多いのが、ジャンプが先でテールを後から弾いてしまうパターンです。ジャンプを意識しすぎると、体だけが先に浮いて、テールを弾く足が地面に残ってしまいます。
こうなると板が浮かず、足が板から離れてしまう結果になります。正解は「ジャンプとテールの弾きを同時に行う」こと。しゃがんだ姿勢から一気に上へ飛び出すと同時に弾くのがコツです。
次に多いのが、すり足のタイミングが遅れるミスです。テールを弾いた後、「次に何をするんだっけ…」と考えてしまうと、すり足が1テンポ遅れてしまいます。
すり足が遅れると、ノーズが上がる前にジャンプが終わってしまい、オーリーが低くなる原因になります。ここでは「弾いたら即すり足」を体に染み込ませることが大切です。
また、すり足をノーズの先端まで続けてしまうのもよくあるミスです。ノーズの先に達してから押し出そうとすると、高さのピークを過ぎてしまっており、空中で板が水平になるのが間に合わなくなります。
すり足は前足がビスを通過するくらいで、斜め前に押し出す動作へ移行するのが理想です。
これらのミスは、頭では分かっていても感覚として身についていないことが原因です。対策としては、1つの動作ずつスローで確認する練習や、動画撮影によるフォームチェックが効果的です。
初心者が上達するうえで大切なのは、「ミスを恐れず、何がズレたのかを自分で分析する力」です。正しく理解し、繰り返すことで、タイミングは必ず合ってきます。
あせらず、コツコツと“流れ”を身体で覚えていきましょう。
音で覚えるオーリーのタイミング
オーリーの動作は速く、一連の動きがほんの1秒足らずで終わってしまうため、「目で見て覚える」よりも「音でタイミングを覚える」方法が非常に効果的です。
実際に上達しているスケーターの多くは、無意識のうちにテールの音と動きのリズムを頼りにオーリーのタイミングを身につけています。
まず、オーリー時に最も特徴的なのが、テールを弾くときの「パチン!」という音です。この音がしっかり鳴っているかどうかで、テールを正確に弾けているかがわかります。
もし「ドン」や「ボスッ」といった鈍い音になっている場合は、力を押し込んでしまっている証拠。正しくは指の付け根で素早く“弾く”ことで、クリアな音が鳴ります。
この「パチン!」という音をジャンプの合図として覚えることで、ジャンプと弾きのタイミングを自然に合わせやすくなります。
「パチン」と鳴った瞬間に体を引き上げる意識を持つと、無駄なくスムーズなオーリーにつながります。
さらに、上達してくると聞こえてくるのが、すり足の「シュッ」または「シャッ」という音です。
この音は足がデッキに擦れて摩擦が生まれている証であり、ノーズをしっかり引き上げる動作ができているかの判断材料にもなります。
理想的な音の流れは、「パチン!(テール)→シュッ!(すり足)」という連続したリズムです。
この音のテンポが速すぎたり遅すぎたりすると、動作の連動にズレがある可能性があるため、自分の耳でチェックしてみましょう。
また、屋内や静かな場所での練習では、音がよりクリアに聞こえるので、フォームの確認にも最適です。
スピーカーでスロー再生できる動画を撮影し、自分のオーリーとプロのオーリーの「音の間」を比較してみるのもとても効果的です。
視覚だけでなく聴覚を使って覚えることで、より自然なタイミング感覚が身につきます。
「音が正しいか」を意識しながら練習することで、オーリーの一連の動きがスムーズに繋がり、フォームも安定してくるはずです。
タイミング練習に最適な路面環境とは?
オーリーのタイミングを安定させるには、練習する「路面の環境」も重要です。
路面の状態が悪いと、テールの弾きやすさ・すり足の滑り・着地の安定感すべてに影響を与えます。特にタイミングを身につけたいときこそ、最適な環境を選ぶことが大切です。
まずおすすめなのは、平らなアスファルトやコンクリートの地面です。表面が粗すぎず、かといって滑りすぎない適度な摩擦がある場所が理想です。
こういった路面では、テールの「パチン!」という音がはっきり鳴るため、自分の弾きが正しいかを音で確認しやすくなります。
逆に、砂利やヒビの多い地面、濡れている場所ではテールの反発が吸収され、オーリーの感覚が狂いやすくなります。
また、柔らかい土や芝生の上は、練習場所としては安全ではありますが、反発が弱すぎてタイミング練習には不向きです。板が跳ねにくいため、実際のトリックで必要なタイミングとは大きくズレが生まれます。
屋内のスケートパークや駐車場などのツルツルすぎる路面も注意が必要です。すり足のタイミングは取りやすい反面、グリップが足りず足が滑りすぎてしまう場合があります。そのため、初心者のうちは、「少しザラザラした地面」を選ぶのがポイントです。
加えて、傾斜や段差のない場所を選びましょう。たとえわずかな斜め地面であっても、ジャンプ時のバランスや弾きのタイミングに微妙な影響を与えます。
フラットで広めのスペースを選ぶことで、意識を「動作のタイミング」に集中させやすくなります。
そして何より、自分が安心して繰り返し練習できる場所であることが大切です。環境に不安があると、無意識のうちに力みが生まれ、タイミングに乱れが出てしまいます。
滑る音、足の動き、テールの感触、すべてが「いつも通り」に感じられる場所を見つけることが、上達の一歩です。
5. 高さアップのための体づくりと補助トレーニング
オーリーの技術を磨いていくと、あるところで「これ以上高さが伸びない…」という壁にぶつかることがあります。
実はその原因、技術ではなく身体の使い方や筋力の不足にあることも多いのです。特に中高年のスケーターやブランク明けの方にとって、体づくりはオーリーの質を根本から変える重要な要素です。
ここでは、体幹や脚力、柔軟性など、オーリーを支える身体づくりと補助的なトレーニング方法を、誰でもすぐに取り入れられる形でご紹介していきます。
体幹が弱いとオーリーは伸びない?
「オーリー=ジャンプ力」と思われがちですが、実は体幹の安定感がないと、どれだけ跳べても板をコントロールできません。
体幹とは、腹筋・背筋・お尻・骨盤周りなどの中心部を指し、この部分がしっかりしていることで、ジャンプ時の姿勢をキープしやすくなります。
特にオーリーのように複数の動作を一瞬で連動させる技では、体幹が安定していないと、途中で軸がブレてしまい、すり足のタイミングやテールのキャッチに影響を及ぼします。
体幹が強い人ほど、オーリーの滞空中も姿勢がぶれず、“止まって見える”ような美しいフォームが実現できます。
体幹の強化には、プランクやドローインといった簡単なエクササイズが効果的です。特におすすめなのが「30秒プランク × 3セット」を毎日続けること。
道具もいらず、家の中でもできるうえ、腹筋・背筋・肩まわりを同時に鍛えることができます。
さらに、片足立ちバランスのトレーニングもオーリーには直結します。テールを弾いた後の姿勢や空中でのバランス感覚を養うために、左右交互に片足で30秒ずつ立ち、体をぶらさずにキープする練習をしてみましょう。
「年齢的に筋トレは無理…」と思う方もいるかもしれませんが、体幹トレーニングはゆっくり少ない回数でも効果が出やすいのが特徴です。
筋肉量よりも「姿勢を維持する感覚」を養うことで、オーリーの高さと安定性は確実に変わってきます。
脚力アップに効果的な自宅トレ
オーリーの高さを出すには、やはりジャンプ力=脚力が欠かせません。特にテールをしっかり弾く瞬間、地面を蹴る力と、体を空中へ持ち上げる力が必要になります。
脚力が不足していると、ジャンプは浅くなり、すり足やノーズの押し出しにも十分な力が伝わりません。
ただし、スケーターに必要な脚力は、単なるパワーではなく「瞬発力」と「安定力」のバランスです。そのため、特別な器具やジムに通う必要はありません。
自宅でもできるシンプルなトレーニングを継続することで、必要な脚力は十分に育てられます。
最も手軽で効果的なのがスクワットです。スクワットはお尻、太もも、ふくらはぎなど、ジャンプに関わる筋肉をまんべんなく鍛えられる万能メニュー。
やり方は、肩幅に足を開いて、背筋を伸ばしたまま腰をゆっくり落とすだけ。「しゃがんでテールを弾く姿勢」をイメージしながら行うと、オーリーに必要なフォームも自然と身につきます。
もう一つおすすめなのがジャンプスクワット。普通のスクワットにジャンプを加えることで、瞬間的なパワー=爆発力が鍛えられます。
10回を1セットとして、毎日1〜3セット行うだけでも、テールを弾いた瞬間の力強さが変わってきます。
また、階段の上り下りも地味に効くトレーニングです。特に「2段飛ばし」で登ると、ジャンプと同じ動作を無理なく鍛えられます。
日常の中でできるので、運動の習慣がない人にも続けやすい方法です。
トレーニングのコツは、無理せず正しいフォームで行うこと。数より質を重視して、膝を痛めないようにゆっくりと行いましょう。
特にブランクがある方や年齢が気になる方は、最初はイスや壁を使って補助しながらでもOKです。
脚力は、オーリーの「高さ」と「跳び出すスピード」に直結します。毎日5分、少しずつでも継続していけば、板の浮き方が明らかに変わってくるのを実感できるはずです。
柔軟性が高さにどう関係するのか?
「オーリーに柔軟性って関係あるの?」と疑問に思う方も多いかもしれませんが、実は柔軟性は高さにも安定性にも深く関係しています。
特に股関節・足首・太もも裏(ハムストリングス)・腰回りの柔軟性が不足していると、しゃがむ動作やジャンプ動作に制限がかかり、動きが小さくなってしまうのです。
オーリーではまず、しゃがむ姿勢が必要ですが、このときに股関節や太ももの裏が硬いと、十分に膝が曲がらず、深くしゃがめない状態になります。
しゃがめない=溜めが作れないので、ジャンプに必要なパワーが生まれにくくなり、高さが出ません。
さらに、足首の柔軟性も重要です。すり足をする際や、テールを弾いた後の姿勢を保つときに、足首が柔らかいほど細かくコントロールが効くようになります。
足首が硬いと、板の角度や動きに合わせて反応できず、バランスが崩れたり、足が板から離れやすくなるのです。
また、ジャンプの滞空中に脚を引きつける動作にも柔軟性が必要です。特に、太もも裏とお尻の筋肉が硬いと、足が上がらず、空中でのフォームが縮こまってしまい、せっかくのジャンプが低く見えてしまいます。
柔軟性を高めるには、毎日少しずつで構わないのでストレッチを習慣化することがポイントです。おすすめは「前屈」「股関節の開脚」「足首回し」「太もも裏の伸ばし」です。
特にお風呂上がりや朝起きた後など、筋肉が温まっているタイミングで行うと効果的です。
注意点として、ストレッチは無理に伸ばそうとせず、呼吸を止めずにゆっくり行うことが大切です。痛みを感じるまで伸ばす必要はありません。
毎日継続することで、少しずつ柔らかくなり、オーリーの動きがスムーズになります。
柔軟性は一見地味ですが、技のクオリティに大きく影響する土台のひとつです。柔らかい体は動きに余裕を生み、結果的に高さアップにも直結します。ぜひ日々の習慣に取り入れてみてください。
年齢に合った体づくりの考え方
若いころと同じように動けなくなってきた…と感じたことはありませんか?特にスケートボードのような瞬発力・柔軟性・バランス感覚が求められるスポーツでは、年齢に合った体づくりがとても大切です。
無理をしてケガをしてしまえば、せっかくの楽しい時間が台無しになってしまいます。
まず大前提として、年齢を重ねると筋肉の回復力や関節の柔軟性はどうしても落ちてくるものです。
これは避けられない変化ですが、それを理解した上で、ペース配分やトレーニング方法を工夫することで、スケートボードを長く続けることができます。
おすすめは、「少なく・ゆっくり・丁寧に」行うトレーニングです。たとえばスクワットやプランクも、回数を重ねるよりも1回1回のフォームをしっかり意識することが重要。
負荷は軽めでも、継続することで筋力は十分に維持・向上します。
また、練習前後のウォーミングアップとクールダウンは必須です。年齢を重ねると筋肉や腱が硬くなりやすく、いきなり体を動かすと故障のリスクが高まります。
5〜10分のストレッチや軽いジョギングで体を温めてから乗るようにしましょう。
もうひとつのポイントは休息の重要性です。若いころは多少無理をしてもすぐ回復しましたが、年齢を重ねるとオーバーワークがかえって逆効果になることがあります。
「昨日より今日は軽めに」「週に1回は完全休養」など、体の声を聞きながら練習の強度を調整しましょう。
そして精神的な余裕も大切です。「前はもっと跳べたのに…」と比較するのではなく、今の自分のベストを引き出すことを意識しましょう。
今の年齢だからこそできる楽しみ方や発見もあります。
年齢に合った体づくりは、単なる体力づくりではなく、安全に・楽しく・長くスケートを続けるための土台です。
無理なく、自分に合ったペースで続けていくことが、結局は一番の近道になります。
毎日5分でできるオーリー強化体操
「忙しくて時間がない」「がっつり筋トレは苦手」そんな方でも大丈夫。毎日たった5分でできるオーリー強化体操を習慣にするだけで、テールの弾き、ジャンプ力、バランス感覚に変化が現れます。
短時間でも継続すれば、体の使い方が確実に変わってくるのを実感できます。
この体操は、オーリーに必要な脚力・体幹・柔軟性をバランスよく刺激するように構成されています。特別な道具は必要ありません。自宅のリビングやちょっとしたスペースがあればOKです。
【オーリー強化体操のメニュー(目安:各1分×5種)】
- 深めスクワット(1分):ゆっくり腰を落とし、テールを弾く姿勢を意識。太ももとお尻の筋力アップ。
- 片足立ちバランス(各足30秒ずつ):オーリーの空中バランス感覚を養成。目を閉じて行うとさらに効果的。
- 前屈ストレッチ(1分):ハムストリングスの柔軟性を高め、しゃがみ姿勢の可動域を広げる。
- 足首回し(各足30秒ずつ):足首の可動域を広げて、すり足のしやすさを改善。
- 体幹キーププランク(1分):姿勢を安定させる体幹を強化。板と体を一体化させる基礎力を養う。
このメニューを無理せず毎日続けるだけで、少しずつですが確実に体の感覚が変わってきます。ポイントは動作の質を意識すること。
回数よりも「効いているな」と感じながら行うことが大切です。
そして何より、たった5分でも「今日も体を整えた」という自信が、練習時の集中力やモチベーションにもつながります。
朝起きた直後や夜のリラックスタイムなど、ライフスタイルに合わせて取り入れてみてください。
体を整えることは、オーリーの上達だけでなく、ケガの予防や疲れにくい体づくりにもつながります。
「今日は滑れないな」という日も、この5分体操だけは続けてみる。それだけでもスケートの調子は大きく変わります。
6. よくある質問(Q&A)
ここまで、オーリーの高さを出すための具体的な方法をじっくり解説してきましたが、それでもなお「これってどうすればいいの?」と感じることもあるかもしれません。
特にオーリーは細かな動作やタイミングが重要な分、悩みも人それぞれです。
そこで最後に、実際に多くのスケーターから寄せられる「よくある質問」にお答えします。オーリーの練習中にぶつかりがちな疑問やつまずきポイントをまとめましたので、あなたの悩みのヒントになるかもしれません。
Q1. オーリーの高さは年齢に関係ありますか?
A1. オーリーの高さには確かに若さゆえの筋力や柔軟性が関係しますが、年齢が直接の制限になるわけではありません。
大切なのは、自分の体に合った練習方法と正しいフォームを身につけることです。特に40代・50代以降のスケーターでオーリーをしっかり跳べている方も多く、年齢よりも継続と工夫がカギとなります。
無理のない体づくりと基礎技術の積み上げが、年齢を超えた進化につながります。
Q2. すり足が全然できません。どうすればいい?
A2. すり足ができない原因は、動作の方向・タイミング・足首の柔軟性のいずれかにあることがほとんどです。
まずは、板に乗らず地面の上ですり足の軌道をゆっくり再現する練習から始めましょう。そして、ノーズの手前で押し出す動作に切り替える感覚を身につけてください。
焦らず、靴の削れ具合や感触を確認しながら少しずつ慣れていくことが大切です。
Q3. 弾くときに音が鳴らないのは失敗?
A3. はい、基本的には「パチン!」という音が鳴るのが理想的な弾き方です。
音が鳴らない場合、多くは「踏んでいる」「力が分散している」「弾くポイントがズレている」ことが原因です。足の指の付け根で瞬間的に“弾く”意識を持ちましょう。
音が明確に鳴るようになると、板の反発も強くなり、オーリーの高さが変わります。
Q4. スニーカーのどの部分が一番削れますか?
A4. 一般的に、前足の外側(靴ひも付近のアッパー)がもっとも削れやすい部分です。
これは、すり足の際にデッキと接触するポイントだからです。ここがしっかり削れているということは、適切な場所ですり足ができている証拠とも言えます。
逆に削れていない場合は、足の使い方を見直すヒントになります。
Q5. 毎日どれくらい練習すれば効果が出ますか?
A5. オーリーの上達には「質×継続」が最も重要です。無理に長時間滑る必要はありません。1日15分でも集中して取り組めば十分な効果があります。特にフォームの確認や基礎トレーニングを中心に行い、週3〜4日のペースで継続することをおすすめします。疲労やケガのリスクを減らしつつ、体に動作を覚えさせていくことが上達への近道です。
7. オーリー上達のための総まとめ
ここまで、オーリーの高さを出すためのポイントを7つのテーマに分けて詳しく解説してきました。
技術的な要素から体の使い方、トレーニング方法まで網羅しましたが、最終的に大切なのは「正しい知識をもとに、焦らず反復すること」です。
まず、スタンスはすべての土台。足の位置や角度によって弾きやすさ・すり足のしやすさが大きく変わります。
そして、テールの「弾き方」と、前足の「すり足からノーズの押し出し」を連動させることで、板が足についてくるようになります。
オーリーは一瞬の中に複数の動きが詰まった複雑なトリックです。そのため、タイミングのズレがフォームや成功率に影響します。
しかしそれは逆に言えば、各動作を見直せば確実に改善できるということでもあります。
さらに、体幹・脚力・柔軟性といった体づくりも技術と同じくらい大切です。特に年齢を重ねたスケーターにとっては、体を整えることが継続と上達の鍵になります。
「昔より跳べない」と感じても、それは身体が変化しているだけ。それに合わせた練習とケアを行えば、再びオーリーの高さは取り戻せます。
そして何より、楽しむことを忘れないでください。思い通りにいかなくても、それも含めてスケートボードの魅力。
「今日はちょっとノーズの押し出しが上手くいった」、そんな小さな発見や変化を積み重ねていくことで、確かな上達につながります。
オーリーは、誰でも練習すれば必ず上達します。若いスケーターも、ブランク明けのスケーターも、年齢を重ねたスケーターも、“今の自分にできること”から少しずつ積み上げていくことが何より大切です。
あなたもぜひ、今回の記事の内容を参考に、自分だけの「最高のオーリー」を育ててください。